National Gallery

London

​「大英帝国、黄金時代の力の象徴」

 

トラファルガー広場に面したロンドン・ナショナルギャラリー。この国立美術館は1824年のジョン・ジュリアス・アンガースタインが残したコレクションを基に誕生した。そのコレクションはラファエロの『教皇ユリウス二世の肖像』など秀作揃いであったが、作品数は僅か38点。公開場所も現在とは異なり少し離れた旧アンガースタイン邸であった。
当時のイギリスは七つの海の覇権を握った黄金時代、この美術館には民間の豊かの財力で収集された作品が次々に寄贈され、創設から30年ほどでヨーロッパを代表する名画の宝庫となった。その結果、旧アンガースタイン邸が手狭となり1838年現在の地に移転することになったのである。
現在はヨーロッパ各地の黄金時代の作品約2300点の名作が展示保存されている。

 高さ80センチあまりのさほど大きくない画面に、超人的な緻密さで、手をつなぐ男女と室内風景が措かれている。これはベルギー北西部ブリュージュ(ブルッヘ)に住むイタリア商人ジョヴァンニ・アルノルフィーニと妻との結婚記念図とされている。
このころのネーデルラント絵画では、手前にあるものも遠くにあるものも同じようにくっきりと措かれる。微細に描かれた室内の事物には、犬は夫への貞節を、脱ぎ捨てられたサンダルは神聖な場所を、昼なのに灯っているろうそくはキリストを象徴する、というような意味が隠されている。奥の壁には流麗なカリグラフィーで「ヤン・フアン・エイクがここにいた、1434年」と書かれている。その下の凸面鏡の円形の縁飾りにまでキリストの生涯が描かれ、鏡面には手前の男女の後ろ姿と、さらに人の人物が映っているが、それはヤン自身ともうひとりの結婚立会人だと考えられている。
鏡に画家の姿を描き込むというアイディアは、17世紀スペインのベラスケスに影響を与えた。
ヤン・フアン・エイクは15世紀ネーデルラント絵画を代表する画家。当時のフランドル地方ではブルゴーニュ公国が栄えていたが、ヤンは1425年から公国君主フィリップ善良公の画家兼侍従となり、32年からは宮廷のあったブリュージュに暮らした。亡くなった兄フーベルトの仕事を継いで、『ヘントの祭壇画』、1432年 へント〈ベルデー〉、聖バーフ大聖堂)を完成。
官僚や市民からの注文も手がけた。
1441年に没するまで、油彩技法の改良や、絵画形式におけるさまざまな革新を果たした。たとえば当時はまだ未成熟なジャンルだった肖像画では、細密描写によってモデルの人間性まで描き出した。古典や幾何学にも精通していたというヤンをフィリップ公は重用したが、残念ながらヤンがブルゴーニュ宮廷のために描いた作品は1点も現存していない。

この作品は「ギャラリーアオキ」で購入できます。

「アルノルフィーニ夫妻の肖像」

81x59.7cm

1434年 油彩 板

ヤン・ファン・エイク 1390~1441

「アレクサンドリアの聖カタリナ」

72x56cm

1434年 油彩 板

ラファエロ 1483~1520

伝承によると、聖女カタリナは地中海に浮かぶキプロス島の王の娘で夢の中でキリストと婚約。
ローマ皇帝に捕まり拷問の末に殺される。
しかし、ラファエロの筆は不幸な殉教者という面は強調せず、恋する乙女としての聖女を描いている。

「ペルシャザルの饗宴」

167.6x209.2cm

1635年 油彩 板

レンブラント・ファン・レイン 

1483~1520

 瞬間を切り取ったレンブラント。
旧約聖書「ダニエル書」に由来する場面を描いた作品だが、閉じ込められた劇的な一場面から事の重大性が伝わってくる。
 バビロニア帝国の王ベルシャザルとその側近たちが宴を開いている最中、突然壁に人の手が現れ解読不能な文字を書き始めた。
 それは王の死と帝国の滅亡を意味する神の啓示であった。
 その文字を読めたのはただ一人、ユダヤ人の捕囚ダニエルだけであったという物語である。
 レンブラントは王を画面の中央に置き、身につけている衣装や装飾品の輝きを丹念に詳細に描き「神の啓示」と対象をなしている。

「バッカスとアリアドネ」

175x191cm

1522年 油彩 カンヴァス

​ティッツイアーノ 1488~1576

 ギリシャ神話の一コマ、恋人に去られ傷心のアリアドネのもとに偶然現れた酒神バッカス、二人はやがて結ばれる。
 ティッツアーノの構図と配色の素晴らしさがにじみ出ている作品だ。
 手前右のやや暗い森の影から左上半分の明るい青い空に向かって抜けるような空間と
その間にバッカスとその仲間たちがいる。アリアドネのまとう蒼は空に溶け込むようだ。
何とも健康的で明るい未来を暗示している。
 画面左上の上空ある白い点はバッカスが投げたアリアドネの宝冠、これが冠座となる。
 この作品で塗られている「青」は当時高価だったラピスラズリである。

「岩窟の聖母」

190x120cm

1508年 油彩 板

​レオナルド・ダ・ヴィンチ 

1483~1520

背景が天地創造を思わせる光景に描かれ、万物の創造主としての神の生誕にふさわしい作品だ。
聖母は「モナリザ」を思わせる微笑を浮かべ慈愛に満ちている。
数ある聖母子像の作品群の中でもラファエロに並ぶ秀作といえる。

この作品「パリ ルーブル美術館」にもあります。

「座るモアテシエ夫人」

120x92.1cm

1856年 油彩 カンヴァス

​ドミニク・アングル 1780~1867

  フランス新古典主義のアングルが13年もかけ完成させた秀作。
モデルは銀行家モワテシエ氏の妻で「古代ローマの女神」のようだといわれていた夫人。
肌の滑らかでソフトな技法やドレス、装飾品の繊細で詳細な筆遣いなど巨匠アングルならではの一級作品である

「アニエールの水浴」

201x300cm

1883年 油彩 カンヴァス

​ジョルジュ・スーラ 1859~1891

  パリ郊外のセーヌ川沿いにあるアニエールは労働者が多く住む地域。まばゆい夏の光の下、セーヌ川で日光浴をしたり水浴したり
ボート遊びに興じる人々が描かれていて、近代的な都市生活者の余暇の情景である。
登場人物は、それぞれに時が止まったかのように静かに孤立していて、互いに意思の疎通は無い。
この作品でスーラはところどころ点描を試みているが、後の作品ほど徹底したものではない。

「チェルリー公園の音楽会」

76.2x118.2cm

1862年 油彩 カンヴァス

​エドゥアール・マネ 1832~1885

  作品の中心が定まらず何を描こうとしてるのか判然としない。
しかし、当時の伝統的な表現方法と比べれば独特で画期的な表現スタイルともいえる。
マネはこの作品の中に多くの友人たちを描きこんでいる。そして左の黒服の男もマネ自身だ。 

「嘲笑されるキリスト」

74x59cm

1508年 油彩 板

​ヒエロニムス・ボス 1450~1516

  茨の冠をかぶらされ、人々から嘲笑されるキリスト。
 犬の首輪を付けた男は迫害者を、イスラムを示す星と三日月の頭巾をかぶった男は不信仰者を暗示する。
 無表情なキリストは殉教者は苦痛を感じないという、ボスの属した宗教団体の思想を反映しているとされる。
 画家はしばしば奇異な作品を描いたが実生活では敬虔なカトリック信者だった。

「乾し草車」

130.5x185.5cm

1821年 油彩 カンヴァス

ジョン・コンスタブル 1776~1837

カンスタフルの最も有名な絵で、初夏のフラットフォード水車場近くの静かな情景である。
犬だけが顔を上げ、空の荷馬車がウイリー・ロットの家のわきでストゥア川を渡って、遠景の牧草地に向かおうとしている。
制作に5か月を要したこの絵に、画家自身は≪風景:昼≫と題をつけた。
太陽は画面をはみだした高み、見る者のほぼ正面にあるはずだ。空をよぎる雲が、田園のそこかしこに影を投げている。
なんとものどかなイギリス片田舎の田園風景を代表しているような作品だ。
いつ頃からか、画面にアクセントを付ける意味で赤い色を使うようになった。この作品でも馬の鞍に赤が使われている。

「戦艦テメレール」

90.7x121.9cm

1839年 油彩 カンヴァス

ウイリアム・ターナー 1775~1851

  ネルソン提督が率いるイギリス艦隊がフランス・スペイン連合艦隊に歴史的大勝利をした時の戦艦で、30年後、解体場へと曳航される姿を描いたもの。
背景の赤い夕日が過去の英雄の最後の幕引きにふさわしく輝き、毅然とした姿で引かれてゆく戦艦テメレール。
 曳航する蒸気船が暗い影となり形が判然としないため戦艦テメレール号の姿がいっそう神々しく見える。

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